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　ベラルーシで軍の動きを監視する独立系の調査グループ「ハユン・プロジェクト」は20日、同国に駐留するロシア軍がウクライナ国境方面に向け、車両や人員を移動させていると通信アプリ「テレグラム」に投稿した。ロシアは2月の侵攻開始時と同様に、再びベラルーシからウクライナを攻撃する可能性が指摘されており、ウクライナ側は警戒を強めている。

　ハユンによると、ベラルーシ中部のポロンカ駅から20日、戦車23台や給油用車両8台、輸送用車両9台などがウクライナとの国境方面へ移動した。前日の19日にも北部ザスロノボ駅から戦車20台超や輸送用車両16両が中部に向けて移動したという。同駅からはウクライナとの国境に近い地域への移動も伝えられている。

　ロシア軍が近く再攻勢に転じる能力について、米国務省高官は20日、ロシア政府内でも意見が分かれているとの分析を明らかにした。ロイター通信によると、装備不足や前線兵士の戦意の低下などから、戦闘力を疑問視する声が内部で出ているという。

　プーチン露大統領は19日、3年ぶりにベラルーシを公式訪問し、同国のルカシェンコ大統領と国防システムの統合について協議した。ルカシェンコ氏は、ロシアから提供された弾道ミサイル「イスカンデル」と地対空ミサイルシステムS400の実戦配備を終えたと明かした。ロシア国防省は場所などを明かしていないが、ベラルーシと合同演習に臨む動画を公開しており、2国間の軍事活動の活発化を印象づけている。

　ベラルーシ国営ベルタ通信によると、ルカシェンコ氏は19日の会談後、今後3年間にわたり、ロシア産天然ガスを廉価で輸入する点で基本合意したと説明した。詳細は明かされておらず、政府間で細部を協議していく見通しだ。プーチン政権は同盟関係にあるベラルーシを参戦させようと、圧力をかけている。「アメとムチ」を与えられているベラルーシがウクライナ侵攻に加わるかは、依然として不透明だ。

　ロイター通信によると、ウクライナのレズニコフ国防相は20日出演したテレビ番組で「ベラルーシ指導部にとって、軍事力を損失するのは国益ではないだろう」と言明。そのうえで「彼らがバランスを維持すると期待したい」と述べた。また東部ドネツク州で激戦地となっているバフムトでは20日、ゼレンスキー大統領が前線を視察し、兵士を激励した。

　英誌エコノミストとのインタビューで、ウクライナ軍のザルジニー総司令官はロシア軍が再編成したうえで、2023年1月下旬にも大規模な攻勢を仕掛けてくる恐れがあると指摘。侵攻開始時と同様に、ベラルーシ方面から侵攻し、首都キーウ（キエフ）の攻略を試みる可能性に言及している。【大前仁、ブリュッセル宮川裕章】